ブロックチェーン技術の教科書
本書は、ビットコインから生まれた次世代技術「ブロックチェーン」の解説書です。ブロックチェーンはもちろん、その他の技術との関係性についても学べる、エンジニアにおすすめの一冊です。
■ブロックチェーンとその関連技術をわかりやすく解説
世の中を賑やかしたビットコインは多くの人々を魅了し、その中で使われるブロックチェーンや分散台帳と呼ばれる技術は、新たな世の中の仕組みを創出する可能性のある技術だと注目を集めており、新たな価値観を生み出すものとして期待が寄せられています。
しかし、ブロックチェーンは新たな価値観を創出する機会をもたらす可能性がある一方で、さまざまな議論が錯綜し、混乱しがちです。ブロックチェーンを利用した仕組みを構築しようとするのであれば、それを支える技術を理解しておくことが重要です。また、ブロックチェーン以外の技術についても、よく知っておく必要があります。
本書ではブロックチェーンを技術的な観点で整理し、特徴や性質について理解を深められるように解説しています。また関連する従来技術をいくつかピックアップし、その特徴やブロックチェーンと絡めた事例を紹介しています。本書で述べる要素や特性、それにまつわる課題について理解しておくことは、さまざまなブロックチェーンのソフトウェアを理解し考察する上での基礎になると期待しています。
また、本書後半ではイーサリアムとHyperledger Fabricでのスマートコントラクトの簡単なサンプルプログラムを用意しています。イーサリアムやHyperledger Fabricの環境で実際にスマートコントラクトを実行してみることで、ブロックチェーンソフトウェアのイメージをつかむ助けになれば思います。
読者の皆様が本書を入口として、ブロックチェーンの技術に関して理解を深めたり、ブロックチェーンの特徴を活用したシステムを開発したり、これからのブロックチェーン技術がもたらす可能性について議論を深めたり、また、関連する従来技術にも興味を持ち理解を深めていただくことで、ブロックチェーンに関する再発見をしていただけると幸いです。
目次
●Chapter 1 ブロックチェーン・分散台帳とは何か?
●Chapter 2 ブロックチェーン・分散台帳の仕組み
●Chapter 3 ビットコインの仕組み
●Chapter 4 スマートコントラクト
●Chapter 5 従来技術とブロックチェーン
●Chapter 6 ブロックチェーンの実現可能性
●Chapter 7 ブロックチェーンソフトウェアの例
●Chapter 8 ブロックチェーンを使ってみよう(1)~データ共有篇~
●Chapter 9 ブロックチェーンを使ってみよう(2)~スマートコントラクト篇
著者紹介
●佐藤 雅史(さとう・まさし)
セコム株式会社IS研究所 主任研究員。東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程修了。情報セキュリティ分野の調査・研究・開発に従事。特に電子認証や電子署名(デジタル署名)やブロックチェーンを含めた関連分野を専門とする。標準化活動にも従事し、長期署名プロファイルのJIS規格やISO規格の原案作成や、JAHISにてヘルスケア分野の電子認証・電子署名規格の原案作成委員を務める。JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)電子署名WGサブリーダー。
●長谷川 佳祐(はせがわ・けいすけ)
セコム株式会社IS研究所 研究員。2016年筑波大学大学院システム情報工学研究科修士課程を修了後、セコム株式会社に入社。大学では公開鍵暗号系の技術を研究し、入社後はIS研究所の暗号・認証基盤グループに所属してPKI (Public keyInfrastructure)に関する研究を行う。現在はブロックチェーンの技術や実装に関する調査・研究を担当している。
●佐古 和恵(さこ・かずえ)
NECセキュリティ研究所 技術主幹。京都大学理学部(数学)を卒業後、NECに入社。以来、電子投票システム、電子抽選システム、匿名認証方式など、暗号プロトコル技術を用いてセキュリティ、プライバシ、公平性を保証する方式を研究開発。日本学術会議連携会員。第26代日本応用数理学会会長、平成29年度電子情報通信学会副会長。博士(工学)。
●梶ヶ谷 圭祐(かじがや・けいすけ)
NECセキュリティ研究所 主任。東京工業大学大学院総合理工学研究科物理情報システム創造専攻修士課程を修了後、NECに入社。Java分散アプリケーション実行基盤ミドルウェアの開発に従事。2017年よりセキュリティ研究所でブロックチェーン技術の調査・研究を担当。今一番興味があるのはEthereum。
●並木 悠太(なみき・ゆうた)
NECクラウドプラットフォーム事業部 主任。東京工業大学大学院情報理工学研究科計算工学専攻修士課程を修了後、NECに入社。ミドルウェア部門において複数のデータベース関連製品の開発、保守に携わる。現在はデータ管理分野における新技術の調査や検証を担当。
●松尾 真一郎(まつお・しんいちろう)
ジョージタウン大学教授、Blockchain Technology and Ecosystem Design 研究センター所長。MITメディアラボ所長リエゾン(金融暗号)も務め、日本では産学連携のためのBASEアライアンスを立ち上げ、東京大学生産技術研究所・海外研究員、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授としても活動中。ブロックチェーン専門学術誌LEDGER誌エディタ、IEEE, ACM, W3C等の学術会議やScaling Bitcoinのプログラム委員長を務める。ブロックチェーンの中立な学術研究国際ネットワークBSafe.networkプロジェクト共同設立者。ISO TC307標準化委員、およびセキュリティ分野のリーダーを務める。
担当編集者から
ブロックチェーンとその関連技術についてわかりやすく解説した1冊です。サンプルプログラムも解説していますので、仕組みを体験してみることもできます。ぜひ、ご確認ください。 (吉成 明久)