ITエンジニアのためのプロジェクトマネジメント基礎講座
プロジェクトマネジメントは、非常に古い歴史があります。罠を仕掛け、獲物をみんなで追い込みしとめるなどは典型的なプロジェクトです。リーダーは、天候を読み地形を見極め、獲物の特性とリスクを調べ、自分達の勢力を把握して行動に出ます。これこそ典型的なプロジェクトマネジメントです。人類はその後、砦や古墳など、巨大建造物の構築や二十世紀のアポロ計画などビッグサイエンスの実現などを経て、その技法を磨き発達させてきました。
コンピュータが急成長した1960年代から1980年代にかけては、プロジェクトマネジメント技法が修正されると共に体系化され、ツールも普及してきました。
さらに社会学や心理学、マーケティング手法も必要になってきました。また経験則も再認識する必要に迫られていると思います。
プロジェクトマネジメントの手法・技法は今後も少しずつ変わっていくでしょう。また、業界事情によっても独自の方法論が出てくるでしょう。
そうした変化の中で、本書は、筆者らの経験をもとに狭義のプロジェクトマネジメント技法にこだわらず広く失敗事例も参考に、基本的なプロジェクトマネジメント手法を整理してみました。悩めるプロジェクトリーダーの課題解決の糸口になればと思い、現代の兵法書を目指して書き記してきました。一読いただいてお役に立てば大変嬉しく思います。
目次
CHAPTER 01 プロジェクト概要
CHAPTER 02 プロジェクト事例
CHAPTER 03 プロジェクト開始から完了まで
CHAPTER 04 プロジェクトのリスク分析
CHAPTER 05 プロジェクトの管理技法
CHAPTER 06 プロジェクトを計画する
CHAPTER 07 プロジェクトを管理する
CHAPTER 08 失敗しないプロジェクトのために
APPENDIX 演習課題の回答例
著者紹介
金田 光範(かねだ・みつのり)
地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター 研究開発本部 情報システム技術部 DX推進センター専門アドバイザーを担当している。法政大学理工学部経営システム工学科の兼任講師として2020年3月まで2年間プロジェクトマネジメントに関する授業を担当した。東芝にて、多くの原子力発電所向け監視制御システムの開発プロジェクト、原子力防災における緊急事態応急対策拠点施設の計算機システムの開発プロジェクトを担当した。システムソフトウェアのエンジニアリング、安全、人間工学に詳しい。
入月 康晴(いりづき・やすはる)
法政大学理工学部経営システム工学科の兼任講師として2020年4月からプロジェクトマネジメントに関する授業を担当している。地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター フェローとして2023年4月からデジタル化推進部 デジタル化推進室の担当課長を務める。2023年3月までは研究開発本部 情報システム技術部長を務めた。研究分野としては、知能化技術や非線形モデリング、組込みシステムの信頼性向上などである。出光興産株式会社 技術部プロセスシステムセンターでは、プラント運転の自動化や最適化、制御システムなどの研究開発に従事した。プロジェクトに関連するものとしては、石油精製や化学プラントへの制御システム導入プロジェクトやプラント建設プロジェクトでのシステム導入テストなどを担当した。その他、機能安全のJIS原案作成委員なども行った。博士(工学)(2002年3月 名古屋大学)。
担当編集者から
ITエンジニアとして必要なプロジェクトマネジメントの基礎をまとめた1冊です。入門書として最適な1冊ですので、ぜひ、手に取ってご確認ください。(吉成)